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冤罪の構図 高知県警白バイ追突事故

2008/08/25 · コメントを書く

 
 平成18年3月3日に、高知県春野町(現:高知市)の国道で、高知県警交通機動隊の白バイと仁淀川町のスクールバスが衝突する事故があり、白バイを運転していた巡査長(当時26)が死亡した。スクールバスを運転していた片岡晴彦さん(53)は業務上過失致死罪により、禁固1年4ヶ月の判決が高知地裁で下された。
 
 駐車場から左右の安全確認をして国道に出たスクールバスは、中央分離帯の所まで来て停車、反対車線から来る車が途絶えるのを待って右折しようとしていた。そこに時速およそ100キロで来たと思われる白バイがスクールバスに突っ込んだ。
 
 「およそ100キロ」というのは、目撃者証言による。スクールバスの後方に停車し、事故の一部始終を見ていた中学校校長は突っ込んできた白バイを「物体」と表現した。それほど速いスピードのため、当初は白バイと認識できなかったためである。高速で突っ込んできたとなれば、違反車両を追跡していたわけでもないので、白バイのスピード違反が成立する。
 
 検察は裁判の中で、「白バイは60キロのスピードで走ってきた」と、事故現場から80メートル後方の反対車線にいた別の白バイ隊員の証言を明らかにした。裁判所もこの証言を有効なものとした。
 
 さらに検察側は、「スクールバスによる1メートル以上のブレーキ痕」として高知県警が用意した130枚もの写真を証拠として提出。バスは白バイが来ていることをよく確認せず、直前になって気付いて急ブレーキをかけた、というものである。
 
 しかしバスは白バイより先に停車しており、ブレーキ痕が残る可能性はゼロに近い。バスが停車していたかどうかというのは、バスに乗車していた中学生22人、教諭3人、そして後方で自家用車に乗っていた校長が証言している。駐車場を出て、5キロ~10キロの速度で急ブレーキをかければ前方への強い衝撃が加わるが、バスの乗客にこれを感じた人はいない。テレビ朝日「スーパーJチャンネル」でこのことは検証された。
 
 弁護側は「プレーキ痕は高知県警によるねつ造によるものだ」と反論。また「事故から8ヶ月経ってから被告にブレーキ痕の写真を見せたのは不自然」、「現場検証を被告を車両に乗せたまま行った」など、通常の事故捜査と比べて不自然な県警の動きを指摘した。
 
 高松高裁は最終的に「証拠ねつ造の疑いは全くない」とし、高知地裁の判断を支持、片岡さん側の訴えを退けた。
 
 客観的に見ておかしい点が1つある。
 
 裁判では、反対車線後方80メートルにいた白バイ隊員の「白バイは60キロで走行していた」の証言を採用している。
 
 であるならば、「バスは停車していた」という、バスの乗客25人と校長の合わせて26人の証言をどうして採用しないのか。これに対しては「第三者というだけで、その供述が信用できるわけではない」と退けている。26人よりも1人の、しかも身内である白バイ隊員の主張のみを採用するのは不自然だ。22人の子供たちがウソを言っていると判断したのか。また、本当にプレーキ痕が付くか否かの検証作業を裁判所はしなかった。
 
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 映画「刑事物語 くろしおの詩」では、片山刑事役を武田鉄矢が演じた。舞台は高知市。当時市内では暴力団抗争が起きており、予定されていた銃撃戦のシーンは暴力団を刺激することを考慮し中止となった。片山刑事は「ハンガーヌンチャク」のアクションで悪漢と戦うが、人情派である。
 
 職務質問されたときに出会った警察官の凛々しい姿に憧れた1人の青年は、いま巡査として高知署の交番に勤務する。そこで先輩に「刑事になるなら、腰にハンガーを掛けておけ」とからかわれるという。そして「交番勤務で一番大切なことは、多くの人に防犯を呼びかけることです」といい、夢は刑事になることであるという。
 
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 検察官を退官し、弁護士に転身した大塚清明さんは、後進に「捜査いろは唄」を残した。裁判は何かと時間がかかり、処理する検察や裁判官も苦労が伴う。大塚さんは、解明すべき要点が抜け落ちた部下の捜査に危機感を覚え、実践的な方法論を伝える必要を感じたという。「捜査いろは唄」の1つに「すいすいと 事件こなすが 能じゃない こだわる心 忘るべからず」とある。
 
 正義や真実を追う気持ちは警察官も検察官も判事も同じであろう。その気持ちに揺るぎがないのであれば、「高知県警白バイ事故」は再捜査されるべき事案である。片岡さんが100%有罪であると断定するには疑問がある。「疑わしきは罰せず」の無罪推定の原則はどこに行ったのだろう。裁かれるべき真実はどこに行ったのだろう。22人の子供たちは、この事故をどう納得すればよいのであろう。
 
 聞くことができれば聞いてみたい。亡くなった白バイ隊員はこの事故をどう思っているのだろう。片岡さんが逮捕・収監されることを良いと思っているか。
 
 今月22日に最高裁は上告を棄却、片岡さんの禁固1年4ヶ月の刑が確定した。

 

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★ 高知「白バイ事件」の闇(JanJanNews・08/1/1)

★ 片岡晴彦さんを支援する会HP

★ 県警白バイとスクールバスが衝突 春野町(高知新聞・06/3/4)

★ 白バイ事故で有罪確定へ 最高裁が上告棄却(西日本新聞・08/8/22)

★ 映画「刑事物語 くろしおの詩」を歩く(朝日新聞・08/7/28)

★ 元名物検事長作の「捜査いろは唄」 47首で捜査の心得、技術説く(産経新聞・08/8/26)

★ 刑事8割が「捜査協力得にくい」 平成20年版警察白書 (産経新聞・08/8/22)

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