2009年1月20日 のアーカイブ

闇サイト殺人、3被告に死刑求刑 名古屋

   名古屋での凶悪事件というと、1988年(昭和63年)2月の「名古屋アベック殺人事件」を思い出す。不良少年数人がアベックを襲い、男性を鉄パイプなどでめった打ちにして気絶させて金を強奪すると、男性をその場で絞殺。残った女性を輪姦したあとに、女性の首にヒモをかけて両側から引っ張り絞殺した。二人の遺体は三重県内の山中で発見され、犯行に加わった少年らは警察に逮捕された。    この事件、当然のことながら男女二人に何の落ち度もなく、デートで港に来ていたところを少年らに襲われたのだ。たかだか数万円の金の強奪ために犠牲となった。そして同じ名古屋でおととし起きた事件の論告求刑があった。「闇サイト殺人事件」だ。   ◆ ◆ ◆    「お願いだから殺さないで」、「話を聞いて」、と命乞いをした磯谷利恵さん(当時31歳)に対して、男3人は情の片鱗すら見せなかった。一昨年の8月24日、名古屋市千種区の派遣社員だった磯谷さんは、帰宅途中に男3人に車に押し込まれ拉致された。愛知県愛西市内の駐車場で現金とカードを奪われ、男たちはカードから金を引き出すために包丁を突きつけた。     車内で男が「カードの暗証番号を教えな。殺しちゃうよ」というと、磯谷さんは体を震わせて暗証番号を教えた。3人の男はそこで磯谷さんの顔にガムテープを巻いて顔を覆い、ハンマーで頭部をめった打ちにし、頭にビニール袋をかぶせたうえで首を絞めて殺害した。遺体は岐阜県瑞浪市の山中に遺棄した。    3人の男は、住所不定で無職の川岸賢治(42)、名古屋市東区の無職、堀慶末(33)、愛知県豊明市の元新聞販売員の神田司(37)の3被告。事件が発覚したのは川岸被告が「被害者の懇願する声が頭から離れない」と犯行翌日に愛知県警に自首したことによる。    3人は面識が無く、インターネットのいわゆる闇サイトで集まり、「若い女を拉致して金を奪おう」とし、実行に移した。磯谷さんと3被告は全く接点が無く、何の落ち度もない磯谷さんが犠牲になってしまった。   ◆ ◆ ◆    先月19日、名古屋地裁で強盗殺人罪などに問われた神田被告の公判では、被告が事件後に、磯谷さんについて「うそつき姉ちゃん」、「食えねえ女だ」、拉致後の車中で吐き気を訴えた磯谷さんを「車酔いしてたら、背中とかに汗かくんだよ。芝居の上手い彼女(笑)」などという内容の手紙を交際相手に渡していたことが分かった。磯谷さんが包丁で脅されていて震えていた場面を「がったがた。マグニチュード10?」と書いた。    公判で同被告は「(交際相手から)犯行時の正直な気持ちを書きなさいと言われた」などと説明し、「頭を下げるとか文章にして詫びるとかで許される行為ではありません。判決に恭順するということで納得していただきたい」とした。同被告の父親(72)が証人出廷し、「被害者や遺族の方にどんなに謝っても謝りきれない。極刑が妥当じゃないかと思っています」と述べた。    川岸被告は先月11日の被告人質問で被害者への心境を質問され、「お気の毒」、「運が悪かった」などと発言した。弁護士が反省の言葉を引き出そうとするも、「表現の仕方が分からない」、「『ご愁傷様』だったらもっと腹が立つでしょう」などと述べている。磯谷さんの母・富美子さん(57)が死刑判決を望むと証言したことについては、「死刑なら死刑で構わない。生きることに未練はない」、「私にも子供がいるし、逆の立場ならそう考える」と述べた。    3被告は磯谷さん殺害後に、教えられたカードの暗証番号で現金を引き出そうとした。しかしその番号はウソで、引き出すことはできなかった。番号は「2960(ニクムワ)」としており、富美子さんは利恵さんが数字の語呂合わせが昔から好きだったことを明かした。死を覚悟した利恵さんが最後の抵抗としてのウソだった。    ◆ ◆ ◆    20日、磯谷利恵さんに対する強盗殺人罪などにより、3被告に対して論告求刑が名古屋地裁であり、検察側は「社会全体を恐怖で震撼させた、人命を顧みない冷酷非道な犯行で、極刑をもって臨むほかない」とし、3被告全員に死刑を求刑した。来月2日に弁護側の最終弁論が行われて結審、3月18日に判決が言い渡される。    インターネットの闇サイトは、直接的な言葉で犯罪を助長しない限り摘発は難しい。最近、大麻で捕まる者が増えているが、それとて隠語などが使われており、摘発に時間がかかっている。警察は勿論、委託を受けた民間の団体がサイトの監視に当たっている。そして我々も違法サイトを見つけたら、警察に通報する協力を積極的にすべきだろう。    磯谷利恵さんの母親である富美子さんは、警察で利恵さんと対面したときに抱きしめようと思っていた。しかし、顔の腫れ具合がひどく、「抱いたら痛がるのではないか」と思ってやめたのだという。残された家族に降りかかった悲しみ。そして自分の死期が近づいていると感じた利恵さんの恐怖感というのは筆舌できない。改めて利恵さんのご冥福をお祈りし、3月の判決に注目したい。     ★ 名古屋の闇サイト殺人、3被告に死刑求刑(読売新聞・09/1/20) ★ 闇サイト殺人公判 被害者に「お気の毒」(読売新聞・08/12/12) ★ 闇サイト公判:被害者中傷・・被告が事件後、知人に手紙(毎日新聞・08/12/20) ★ 闇サイト殺人 被害者、最後のメッセージは「2960」(朝日新聞・08/12/8) ★ 『誰でもいいから女を殺そう」別の強盗殺人も計画 闇サイト殺人の3被告(産経新聞・08/9/25)   ☆ 人気blogランキング(国内ニュース)に登録しています。クリックのご協力をお願い致します。 [ もっと読む ]